娘から、「パパ、この本面白いから読んでみて!」と渡された本「ニュートン」のマンガの伝記。
どうやら図書館から借りてきた本らしい。
『学習漫画 世界の伝記 ニュートン(集英社)』
監修は東京大学名誉教授 竹内均さん。おおっ!雑誌「Newton」の初代編集長じゃないですか!
アイザック=ニュートン。
フルネームはともかく、ニュートンという名前は多くの人が知っていると思います。
では、何を発見した人?
私は恥ずかしながら、ずっと「引力」を発見した人だと思っていました。
リンゴが木から落ちるのを見て…というのはあまりにも有名なエピソード。
しかし、正確には違いました。
「引力」の概念はその頃はもう広がっていたようで、ニュートンが疑問に思ったのは「リンゴは木から落ちるのに、なんで月は落ちてこないんだろう」ということ。
そこからの研究で質量があるものにはすべて引力があるという「万有引力」を発見したのです(リンゴが木から落ちたのを見て~というエピソードは諸説あるようです)。
ニュートンの発見はその他にもいろいろあるのですが、それはさておき、今回こうして書きたいことは違うところです。
1665年頃、「ペスト」という病気がイギリスで流行していました。1300年代に大流行したときはヨーロッパの人口の3分の1が亡くなったといわれる感染症です。
ニュートンはこの時期、学校が休校になったので田舎に帰ります。
そこでの約2年間、一人で勉強を続け、「万有引力」や「微分積分」などを発見するのです。
ニュートンは「この2年間、独創力という面で、生涯最高の時」と言っていたそうです。
そう、「ステイホーム」から世紀の大発見をした。
私たちは医療職なので緊急事態宣言が出されている期間も仕事がありましたが、子どもたちは長い長い休校期間がありました。
日本の大学の薬学部は6年間のうち、2.5か月間ずつ薬局と病院での実習があります。
当局にも実習生が来ておりましたが、緊急事態宣言が出たことで約1か月半中断になりました。
子どもたちや学生さんたちはこのステイホーム期間、何を学び、何を感じたでしょう。
ペスト時のニュートンの2年間に比べれば、今回のステイホーム期間は短かったかもしれません。
今回のこの期間も、歴史的な期間です。
生きるのに必死だった。そんな方もたくさんいたはずです。
外に出ることができない中での仕事、家事、勉強、遊びなど、多くの方がストレスフルな生活を送っていたのではないでしょうか。
ニュートンのように研究に打ち込める環境を得た人は稀だとは思います。
しかしそれでも、子どもたちや学生さんたちは、たとえ自分では気づかなくてもなにか大きな影響を受けている、そんな期間だったと思います。
緊急事態宣言解除後、学生実習も再開し、子どもたちの新学期も始まりました。
でも薬局にいると、最近、子どもから大人まで、すべての年代で精神的に体調を崩している方が増えたような気がします。
さらに追い打ちをかける大雨による災害。
家族や友人のちょっとした異変に気づいたら、かかりつけ医やかかりつけ薬局にご相談いただければと思います。
2019年、新しい日本のお札が発表されました。
なんの因果か、1000円札の新しい「顔」は、“北里柴三郎”
ペスト菌の研究で、多大な貢献をされた方です。
この新しいお札が世に出回るのは2024年頃。その頃には、どんな世の中なっているでしょう。
我が家の子どもたちが読む本はなるべく目を通すようにしていますが、中でも伝記や歴史に関する本はできるだけ読むようにしています。どんな歴史であれ、それが今につながっているのですから。
子ども用の「日本の歴史」や「世界の歴史」のマンガは昔からありますが、数年後、この新型コロナウイルス感染症はどのように書かれるのでしょう。
それは全く未知で、その1ページ1ページを、今私たち、世界の人々が作っているのです。
やさしい薬局 勢島 英
追記
自分がいかに真理の前では無知であるか。
ニュートンは亡くなる前にこんなことを言ったそうです。
「世間がわたしをどうみているのか知らないが、
わたしは自分を波打ち際で遊ぶひとりの子どもにすぎないと思っている。
真理という大きな海はいまだ発見されないまま目の前に果てしなく広がっているというのに、
わたしはときおり美しい貝殻や小石を見つけては無邪気に遊んでいる。」
学習漫画 世界の伝記 ニュートン(集英社)より
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